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【2017/12/13 04:41 】 |
Alice

 古川本舗さまに捧ぐ。







「もしもし」
『もしもし、お父さん?
 あたし、さやか』
「おう、どうした」
『久し振り。
 あのさ、来月、おばあちゃんの命日じゃない?
 お菓子かお花送りたいんだけど、どっちがいい?』
「あ?
 なんも気にすんな。いらんいらん」
『いいから!
 今年は絶対何かしようって決めてたの!
 お父さんだって、送られてくるなら欲しいものの方がいいでしょ?』
「あー、まあ、そうか……。
 そうだなあ、じゃあ菓子かな。
 花は毎年ダイが送ってくるからな」
『そっかー。
 ダイスケおじさん元気?』
「相変わらずだ。
 こっちもしばらく会ってねえわ」
『そうだよねー。
 ん、わかった、お菓子送るね』
「おう」
『あと、お父さん、体大丈夫?
 ちゃんと病院行ってる?』
「行ってるぞ、心配すんな」
『本当?
 ……あたし、そろそろ帰ってお父さんと暮らそうか?』
「……馬鹿言うな。
 おまえなんて帰ってきたら、窮屈でしょうがねえって。
 今、のびのびしてんだから、邪魔すんな」
『ひどーい、気を使って言ってあげてるのにー!
 わかったよ、じゃあまたね。
 お盆には一回帰るからね』
「ああ、じゃあな。
 しっかりやれよ」
『うん、ありがとう。
 ちゃんと病院行きなよ。
 じゃあね!』

 電話が切れて、静寂が戻ってくる。
 静寂を吸い込んで、深くため息をつくと、耳障りの悪い咳が混じった。
 この咳も、ずいぶん長く続いている。
 好きで飲んでいた日本酒も、最近は味がしなくなってしまった。
「つまんねえもんだなあ」
 呟いた独り言に応えるものは誰もいない。
 仏壇のロウソクの炎が、頷くように少し揺れただけだ。

 盆まで生きていられればいいなァ、と自分で自分を茶化して笑うと、少し元気が出てきた。
 お盆は、まだ少し、先。


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【2015/10/18 21:06 】 | 散文(短編) | 有り難いご意見(0)
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